春ドラマはそれぞれ中盤戦に入ってきているが、視聴率や配信の数字で明暗が分かれている。予想外の苦戦をしているのが、松本若菜(41)主演『Dr.アシュラ』(フジテレビ系)と、志尊淳(30)と岸井ゆきの(33)のダブル主演『恋は闇』(日本テレビ系)という、同じ“水曜10時”枠の2作だ。
まず『Dr.アシュラ』は、こしのりょう氏の同名漫画(日本文芸社)が原作の救命医療ドラマで、松本演じる杏野朱羅(あんの・しゅら)は、どんな急患も絶対に断らず、どんな手を使ってでも絶対に助けるスゴ腕の救命医。配信サービス・TVerのお気に入り登録数が62.0万(すべて5月13日午後1時現在)で、第2話以降はほぼ横ばい状態。早々に視聴者に見限られたようだ。
ドラマの鉄板ジャンルの医療もので、『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)、『わたしの宝物』(フジテレビ系)などの話題作に出演し、女性人気も高い松本若菜主演なのに、数字は今ひとつ伸びない。当初は、研修医役の佐野晶哉(23)の演技に批判の声が上がっていたが、最近は落ち着いてきた。それでも低迷が続いているのは、なぜか――。
大きな原因のひとつがセットのしょぼさで、明らかに病院に見えない。手術室なのに薄暗く、医療ものに大切なリアリティに欠けているのだ。フジテレビは中居正広氏(52)の女性問題に端を発した騒動でのスポンサー離れにより、制作費が削られているという話も聞く。それが、本作のセットに影響を与えているのかもしれない。
1人で2人の患者を同時に手術したり、病院を抜け出して災害現場へ向かうなど、医療シーンの展開が強引すぎるため、脚本にも批判の声があがっている。これらは百歩譲って、エンタメとして割り切れるかもしれないが、ただ、セットだけは見るたびにどうしても引っかかってしまうのだ。いくら俳優として脂の乗っている松本若菜でも、こればかりはどうにもならないだろう。