日々流行の最先端やニュースを追いかけるトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏。そんな戸田氏が注目するトレンドの住環境とは――?
「一人を楽しみながら、つながりもほしい」──そんな矛盾するようで実はリアルな願いを抱える令和の若者たちが、今、こぞってシェアハウスに集まっています。
パンデミックを経験したZ世代やミレニアル世代にとって、他者との距離感や関係性の取り方は大きく変わりました。物理的に閉ざされた3年間の反動か、人と繋がることに強い渇望を抱く人が増えた一方で、ひとりの時間もやっぱり大事だと考える若者も少なくありません。
そうしたニーズの間を絶妙に満たす形で進化しているのが、いわゆる“令和版シェアハウス”です。
かつては単なる「安い共同生活の場」というイメージが強かったシェアハウスですが、現在では、むしろ積極的に選ばれるライフスタイルとして注目されているのです。
その象徴とも言えるのが、神奈川県を中心に全国で20棟・約500室を展開する彩ファクトリーのコンセプト型シェアハウスです。2023年1月には、猫好きにはたまらない全29室のデザイナーズ猫シェアハウス「にゃんこの森横浜」をオープン。猫とともに暮らせるだけでなく、共通の趣味を持つ住人同士の交流が自然と生まれるように設計されています。
また、起業家向けシェアハウスの存在も注目に値します。東京と京都に展開している起業家向けシェアハウスは、ICT(情報通信技術)課題に挑む人材を支援する総務省のプロジェクト「異能vationネットワーク拠点」にも認定されており、ベテラン経営者との交流や、24時間使えるコワーキングスペース、毎月の活動報告会など、住むだけで成長できる環境が整っています。これらの施設は、住まいという枠を超えて、人生の目標に向かうためのプラットフォームとして機能しているのです。