■出世払いも可能な現代の“トキワ荘”
さらに、シェアアパート事業都内最大手の「TOKYO<β>」では、Z世代の夢を後押しするプロジェクトを展開しています。
その第1弾としてスタートしたのが、WEBTOON漫画家を育てる「MANGA-SO(マンガ荘)」。クリエイター志望者に必要な機材や環境を無償で提供し、1年間の家賃や光熱費も無料。デビュー後の印税の一部を施設へ還元する“出世払い”方式という新たな試みも話題を呼んでいます。
実際に入居している若者たちからは、「一人暮らしでは得られなかった刺激がある」「同じ目標を持った仲間がいるだけで、前向きになれる」といった声が寄せられているそう。
シェアハウスは清掃ルールや生活音に関するトラブルが起きやすいのは否めませんが、それでもこの形が選ばれる背景にあるのが、近年の不動産価格の高騰です。LIFULL HOMESのデータによれば、2024年3月の、東京23区でのシングル向け賃貸物件の平均家賃は10万円を超え、1年前と比べて8%以上の上昇となっています。
この家賃水準では、若者が一人で都内に住むのはなかなか難しい状況です。特に上京組や、夢を追いかけているクリエイター志望者にとって、シェアハウスは現実的かつ合理的な選択肢となっています。
さらにもう一つ、見逃せないのが“投資目的”でシェアハウスを選ぶ若者の増加です。シェアハウスに住む人は節約意識が高く、毎月の生活費をできる限り抑えて新NISAをフル活用している人も。2024年から導入された新NISAでは、年間最大360万円までの投資が非課税で可能となり、金融リテラシーが高い若者ほど、この制度を活かすために住居コストを削減しようとしています。