■別要素を排除した『めおと日和』

 また、途中参加の視聴者も多いようで、《昨日1話から一気見してそのまま最新5話突入! かわいくも天然でコミカルな演技が絶妙な芳根京子ちゃん以上のなつ美像は見つからないし、瀧昌様は本田響矢くんがハマり役すぎ》などの声が。これが、TVerのお気に入り登録数の増加を勢いづける原動力になっているようだ。

 正直、本作のようなストレートな恋愛ドラマが、ここまでウケるとは意外だった。最近は「恋愛+〇〇」のように、ドラマのジャンルが多様化している。今期ドラマでは、その代表が「恋愛+考察ミステリー」の『恋は闇』(日本テレビ系、水曜日夜10時~)だ。考察ものは配信で鉄板のジャンルだけに、ウケると思いきや、惨敗している。

 惨敗の理由は、恋愛要素にミステリー要素にと、欲張りすぎによる物語のバランスの悪さ。前半の万琴(岸井ゆきの/33)と浩暉(志尊淳/30)のイチャイチャ部分は好評だったが、ミステリー部分の動き出しが遅くて、物語が盛り上がる前に視聴者が離れることに。ジャンルをハイブリッドさせる難しさが露呈してしまった。

 一方、『めおと日和』は、なつ美(芳根)と瀧昌(本田)のイチャイチャ以外は、ほとんど排除されている。第4話から本格登場している芙美子(山本)も、イジワルな役かと思いきや、最初からなつ美の味方になってくれ、波風は立たない。そんなシンプルな作りだからこそ、2人の“うぶキュン”に没頭できるのだろう。

 もちろん、芳根がなつ美を演じていることも大きい。他の俳優ではあざとさを感じて、いまひとつ入り込めなかっただろうし、芳根以外のキャスティングが思いつかない。原作者・西香氏もXで、《芳根さんが凄く楽しくて可愛くて面白い最高のなつ美見せてくださって》と絶賛しており、『めおと日和』が芳根の代表作になりそうだ。

 第6話は、芙美子と瀧昌の同僚・深見(小関裕太/29)にスポットが当たりそうだが、もちろん、2人の様子を女学生と書生のコスプレ姿で偵察するなど、なつ美と瀧昌のイチャイチャも、たっぷり見られるはず。この、“安心して見られる”感も、『めおと日和』が多くの視聴者に支持される理由だろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。