かつて、日本中の外食チェーンに当たり前のように存在していた漬物や調味料などの無料トッピングサービス。それらは料理の名脇役として、食の楽しみを倍増させる存在だった。しかし昨今、その灯が静かに消えつつある。

「コロナ禍をきっかけに、感染対策の名のもとで無料トッピングを取りやめた店が続出したんです。さらに物価高が追い打ちをかけ、再開に踏み切った店はごくわずかです」

 そう語るのは飲食チェーン事情に詳しいB級グルメライターの田沢竜次氏だ。

 一方、そんなご時世に逆行するかのように無料トッピング充実という真っ向勝負を挑んだチェーンがある。それが、讃岐うどんでおなじみの『丸亀製麺』だ。

「お馴染みのネギや天かすはもちろん、 5月9日からは新たに“シビ辛ラー油”と“わかめ”が登場し、無料でトッピングできるようになったんです」(前同=以下コメントは全て田沢氏)

 新しくなったトッピングはどのような魅力があるのだろうか。早速、田沢氏は試食したという。

「最初は“うどんにラー油?”と疑ったんですけど、これが意外とおいしい。丸亀製麺特有の汁にパンチが出て、クセになる味でした」

 価格改定を重ねる一方で、無料サービスを手厚くする丸亀製麺。これは値上げ=悪のイメージを打ち消し、顧客満足度を上げる新たな戦略なのか。

 そんな丸亀製麺と同じく、まだ無料トッピングを続けているチェーン店も存在する。

『カレーハウスCoCo壱番屋』もその一つだ。

「カレー屋でも福神漬やラッキョウが取り放題のお店が実は非常に少なくなっているんです。それに比べてココ壱さんは福神漬が卓上にある。これはカレーを愛する庶民にはうれしいですよ」

 さらに、定食チェーンの『やよい軒』。こちらはご飯のおかわり自由に加え、無料の出汁と漬物が用意されている。

「ファミリーレストランに近い業態なのに、ここまでトッピングが充実しているチェーン店はなかなかありません。思わずご飯をお代わりして、出汁でお茶漬けをしてしまいました。独創的で面白いアイデアです」

 同じく和食レストランチェーンの『大戸屋』では卓上のゴマ塩かけ放題で、白米が何杯でも進む。ちょっとした心遣いに独自性がある。