■「ヘタレ役やらせたら日本一」の声も

 演じる北村も嵩の煮え切らなさにはヤキモキしているようだ。5月24日放送の『土スタ』(NHK)では、のぶがお見合い相手・次郎(中島)からプロポーズを受けている一方で、嵩が「この卒業制作を仕上げたら、のぶちゃんに会いにいく」と友人に宣言するVTRが流れたが、ここで北村が「遅いのよ~。間に合わんて」と“セルフツッコミ”を入れていた。

「『あんぱん』では、嵩が“もう何もかも遅かった……”と力なくボヤく姿や、眼鏡をかけたまま虚ろな目で布団に入る姿なども予告されています。

 叔父・寛(竹野内)の死や戦争の影など本筋が暗いムードのなか、何とも情けない嵩の不甲斐なさが結果的に視聴者の癒しになっている感じですね。北村さんは演技派として知られていますが、こうした不器用な役が本当にハマりますよね」(前出のテレビ誌編集者)

 これまでも北村は、木村拓哉(52)主演の警察ドラマ『風間公親-教場0-』(フジテレビ系/23年4月期)や、長谷川博己(48)主演の弁護士ドラマ『アンチヒーロー』(TBS系/24年4月期)で、“常識人すぎて上司(主人公)に翻弄される部下”を好演。

 松岡茉優(30)主演の『おカネの切れ目が恋の始まり』(TBS系/20年7月期)や、自身の主演映画『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020年)では、『あんぱん』のように“快活な女性に恋をするが告白できない男”を演じたことも。

 そのため、『あんぱん』で見せる頼りない姿も、

《北村匠海はああいう人物演じること多いなぁ、一生懸命だけどヘタレな感じ》
《ヘタレ役やらせたら日本一やな北村匠海》
《本来モテ男の北村匠海さんなのに情けない頼りない感じとかヤキモチ妬いてる顔とか上手いね〜 #あんぱん》

 と、ハマリ役だと絶賛する声が多く寄せられている。

「そうした役に定評のある北村さんが演じているからこそ、視聴率は嵩の煮え切らなさをもどかしいと感じ、それがどんどん溜まっていくと。そしてそれは、いずれ嵩とのぶの2人が結ばれるときのカタルシスにつながるのではないでしょうか。

 史実では暢さんとやなせさんは幼馴染ではなく、出会いは戦後。夫に先立たれた暢さんが、就職先でやなせさんと出会い、再婚します。『あんぱん』では“のぶと嵩”として関係性が大胆にアレンジされていますが、最終的にはやはり夫婦になるでしょう。

 それまでは、酷くてむごい戦争が描かれ、見るのがつらくもなってもきそうですが、2人が再会を果たし、結ばれるのを楽しみに見続ける視聴者も多いはず。そうした視聴者の期待感を作っているのが嵩の憎めない優柔不断で、北村さんはそれを見事に演じていると。そしてそれは、『あんぱん』を名作へ導くスパイスになっていくと思われます」(前同)

 北村は5月23日、自身のインスタグラムにて、

《放送を見ながら過去の"やないたかし"を応援している北村匠海も居たり、胸がザワザワしたりワクワクしたり、笑ったり泣いたり怒ったり忙しい感情の中で今の"やないたかし"と向き合っています。

 もう、セリフではなくて自分の言葉なんですよね。他人事にできないんですよ笑》

 と、嵩と自分のシンクロ感を語っている。「自分の言葉」として演技しているからこそ、多くの視聴者の心に残るキャラクターとなっているのだろう。