日々、流行の最先端を研究し続けるトレンドウォッチーの戸田蒼氏。そんな戸田氏が現在、熱視線を注ぐのは最新技術を使用した生活家電。

「障害物の位置を音で知らせてくれるイヤホン」「冷蔵庫の中身を読み取ってその日の献立を自動で提案してくれる家電」――そんな未来のような話が、すでに現実になりつつあるなんて知っていましたか。

 昨年開催された最新技術の展示会『CEATEC 2024』では、私たちの暮らしを変えるAI技術が多数紹介されました。中でも注目を集めたのが、“ただの紙”に見える電子ペーパーのディスプレイです。表面はツルツルとしており光の反射が少なく、角度を変えても見やすいという特徴があります。広告や時刻表だけでなく、災害時には音声で「避難してください」と知らせ、避難経路を示す画面に自動で切り替わります。太陽光発電を活用しているため電源が不要で、夜間照明の代用にもなるというから驚きです。来場者からも「電源不要なのがすごい」「紙に見えるのに目に優しい」といった声も聞かれたものでした。

 また、AIによる顔認証技術も進化しています。顔写真を事前登録しておけば、混雑したゲートでも1分間に100人を同時に識別でき、非登録者は自動的にインフォメーションへ案内される仕組みです。複数人が一斉に通過しても認識できる様子は、まさに未来のスマートゲートと言えるでしょう。

 家庭での食生活を支えるAIも、より実用的で身近な存在に。物価高の影響で「内食」需要が高まる中、冷蔵庫の中身をもとにレシピを提案するサービスが登場しました。

『サッポロビール』で知られるサッポロホールディングスは大手スーパーと連携し、ネットスーパーの購入履歴や冷蔵庫の在庫情報をもとに、1万6000種類以上のメニューから最適な料理を提案するアプリを開発。AIが調理可能な献立を導き出し、作り方も丁寧に案内してくれるそうです。シャープもネット対応家電を活用し、冷蔵庫や電子レンジの情報をもとに、調理時間や温度を自動で設定する機能を展開。家庭での食材管理と調理を一体化することで、フードロスの削減にもつながると期待されています。