日々流行の最先端やニュースを追いかけるトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏。そんな戸田氏が今、注目するのは、日本に来る外国人観光客の「意外な目的地」でした。
最大11連休となった今年のゴールデンウィークが終了。物価高の影響で日本人観光客は減少した一方、海外からの旅行者は増加し、特に関西国際空港では過去最高の旅客数を記録するなど、訪日外国人観光客の動向に注目が集まりました。
東京の象徴的な観光地であるスカイツリーでは、1000匹以上の鯉のぼりが泳ぐイベントを開催。日本の伝統的な行事なものと現代的なものが交錯した魅力的なシーンですが、SNS時代における外国人観光客が求めているのは、必ずしも「日本らしさ」ではなくなっているようです。
TikTok、インスタグラム、YouTubeなどの動画サイトは、外国人にとって旅行の参考となる重要な情報源となり、居酒屋や大衆食堂といった日本人にとっての「日常」を体験したい人たちが急増。さらには、知られざる観光スポットが次々と“流行”として外国人の間で広まっています。
例えば、京都のうどん店『UDON MAIN』では、スパイスの効いた出汁が外国人観光客の間で話題となり、これを目当てに多くの訪日外国人が足を運ぶようになりました。
渋谷にある『かつお食堂』では、店主が目の前で削ったかつお節をご飯にふわっとかける体験が人気です。また、『抹茶モンブラン』を提供するあるカフェでは、絞り出しの工程がラーメンのように見えるということで、海外では“撮りたくなる瞬間”として話題に。1日100食限定のパンケーキ店には開店1時間半前から配られる整理券を求めて長蛇の列ができ、その8割が外国人観光客だったそう。
こうした昨今の外国人観光客の動向を、識者はこう語る。
「『バズグルメ』は旅行者たちにとって単なる食事ではなく、SNS映えする体験として大きな魅力を持っています。特に、現代の旅行者はどこで何を食べたかという情報をSNSでシェアすることが旅行の重要な一部になっています。そのため、写真や動画映えする美しい料理やユニークな体験が、観光地としての人気を集める重要な要素になっているのです」(旅行サイト編集者)
そしてSNSで公開された情報が、拡散されていく。
「視覚的にも感覚的にも新鮮でインパクトのある食文化は見る人の心に強く残ります。そして、その情報を知った次の旅行者が、そこに訪れるという循環ができあがっているんです」(前同)