■ドラマとしてはよくできている『イグナイト』
『イグナイト』プロデューサー・畑中翔太氏は過去に、キャラクター造形に映画『オーシャンズ11』を意識していると発言。それもあってか、各キャラも魅力的で、チームの一体感もある。ただ、物足りないのが、5年前のバス事故の真相を追うという本筋の展開の遅さだ。今回でようやく、自動運転システムが絡んでいることがわかったが、「やっと出たか」という印象だ。
そもそも、メインキャラがピース法律事務所の4人プラス、刑事と弁護士の2人というのは、多すぎたのではないか。それぞれのキャラの背景描写に時間をかけるあまり、本筋の展開が後回しになっていた感は否めない。また、アンミカ(53)、宮近海斗(27)、原嘉孝(29)と、ゲストメインの回が続いたのも、本筋をちゃんと描けなかった理由の1つだろう。
毎回、訴訟にまつわるエピソードはよくできているし、各キャラも魅力的だが、本筋の展開が遅く、「次はどうなるんだ?」というワクワク感が薄いのが、本作の魅力を削いでいる。それが、視聴者が離れてしまった原因だろう。“チームもの”として見れば、本当によくできているドラマなのだが……。
第8話は、ピース法律事務所に協力している弁護士・桐石(及川)と、その妻・綾(映美くらら/45)のエピソードが描かれるようで、そうなると、刑事・浅見(りょう/52)の背景も描かれる可能性もある。本筋が盛り上がるのはもう少し先になると、苦戦はまだ続くかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。