日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回はシニアの新しい働き方に注目。
旅をしながら働いて収入を得るシニア世代が増えています。観光地のホテルやレジャー施設で一定期間、住み込みで働くリゾートバイトの担い手といえば若者というのが、これまでの常識でしたが、近年はその常識が大きく変わりつつあります。観光地などで働く50代から60代のシニア層が急増しているんです。
仕事内容は多岐にわたり、調理補助や受付業務、清掃、チラシ配布などさまざまです。早朝から夜までのシフトをこなし、時給は地域によりますが1200円程度が相場となっています。社会人としての基本的なマナーがあることから、新入社員のような長期の教育は不要とされています。生活は従業員用の寮でまかなうケースが多く、仕事の合間には観光を楽しむこともできます。新しい体験をしながら収入も得られる点が大きな魅力です。
こうした働き方は単なる「収入源」にとどまらず、生活にメリハリをつけ、精神的な充実感ももたらしています。
「リゾートバイトに特化した人材派遣事業者によれば、2022年には50歳以上の就業者数が約200人だったものが、2024年には約760人と、この3年間で約4倍に増えているそうです。2012年の13人から比べると実に58倍という急成長となっています。
あるアンケート調査では、50代から60代のリゾートバイト経験者の約半数以上が『新しい環境で経験やチャレンジをしたかった』と答えており、『リゾート地でのセカンドライフの充実』『リゾートバイトで全国を回る』『リゾートバイト先での移住』といった夢や目標を持つ人も多いようです」(生活情報サイト編集者)