■旅先のバイト捜しに人材マッチングサービス
さらに、『おてつたび』という新しい人材マッチングサービスもシニア層の旅先バイトを促進しています。
これは「お手伝い(短期アルバイト)」と「旅」を組み合わせた仕組みで、観光地の人手不足を解消しつつ、参加者は働きながら旅を楽しめるものです。交通費は自己負担ですが、宿泊場所は無料で提供され、働くことで報酬も得られます。
シニア層の旅行に関する調査では、「お金がない」「同行者がいない」「計画や準備がおっくうになってきた」といった理由で旅行頻度が減っていることが分かっています。
これに対し、『おてつたび』は働くことで宿泊費を節約でき、報酬も得られるため経済的負担を軽減しています。また、参加者の93%が一人旅だといい、現地での仕事を通じて地域の人々と交流できるため、同行者がいなくても孤独を感じにくい環境を作っています。さらに、平均滞在期間が約2週間と短期間で、従来の複雑な旅行計画を立てる必要がないのもシニアにとって大きなメリットです。
こうした動きは、人生100年時代におけるシニアの働き方の多様化を象徴しており、ネット上でも「お金より、生きがいが大事」「働かなければいけないのではなく、働きたい人が働くことができる。素晴らしい社会だと思います」「年金暮らしで動かないでテレビ三昧より、好きなことやりながら働けば健康も維持できそう」「高齢者が社会で役立つ姿を見るのは励みになる」「こういう働き方がもっと広まってほしいですね」といった声が目立ちます。
シニアの新しい働き方はこれからも広がりを見せ、社会全体が高齢者の活躍を支えていく流れは続いていくでしょう。
戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。