■コミュニケーションの場がリアルから変化!
さらに、コミュニケーションの場は「リアル」から「バーチャル」へと移行しています。その代表例がVTuberです。アバター越しのライブ配信では、視聴者がスパチャ(投げ銭)で好きなタイミング・金額で応援でき、匿名で気軽に楽しめる構造は、リアルな会話に緊張する若者に理想的な“新しい夜遊び”かもしれません。SNSでも「キャバクラよりVTuberの方がコスパ良いし癒される」「スパチャで推しに貢いでるからお金がない」といった投稿が多く、若者の意識が“リアルな女性との接触”より“デジタルでのつながり”に傾いていることがわかります。
さらに、マッチングアプリの普及も追い打ちをかけています。自分のペースで異性とつながり、実際に会って会話や食事を楽しむことができ、「キャバクラで営業トークされるより、アプリで“素人の子”に会いたい」といった感覚が主流になりつつあります。
巷では「キャバクラが潰れても誰も困らない」「酒も女も要らない。ゲームと配信と筋トレで充実している」「おっさんになった今でも何が楽しいのかわからない」「強制飲み会とキャバクラは令和の地雷」といった辛辣な声も聞かれますが、共通しているのは“キャバクラ文化が時代に取り残されている”という認識。
もちろん、長年夜の街を彩ってきたその存在は、昭和〜平成のカルチャーとしてひとつのレガシーといえます。ただし、その形を変えずに生き残るのは非常に難しい局面にあります。
キャバクラの終焉は単なる業界の問題ではなく、「お酒を飲まない若者」「リアルより匿名性を好む文化」「恋愛も自由にカスタマイズする時代」の象徴であり、社会全体の価値観の変化そのものを映し出しています。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。