フジテレビは6月5日、前社長の港浩一氏(73)と元専務の大多亮氏(66)を提訴する方針を発表した。元タレントの中居正広氏(52)と同局の元女性アナウンサーA(3月31日に公開された第三者委員会の調査報告書より)を巡る一連の問題で、事案が起きた当時、対処に当たった港氏と大多氏の法的責任を追及するという。

 同日、報道陣の取材に応じたフジテレビの清水賢治社長(64)は2人の対応が誤ったことにより、局に「被害が生じている」という理由から損害賠償請求を検討していると明かした。また、第三者委員会の調査報告書に記載された各事案を受け、当時の編成部長B氏らの処分も公表。

《職務執行が困難になったため》という理由により1月30日付で「人事局付」に異動していたB氏だが、中居氏からの依頼で、女性Aの入院先に現金などの見舞品を届けるといった行動、中居氏に弁護士を紹介するなど、女性Aへの二次被害となり得る不適切な行為をしたことを理由に、降職(4段階)の懲戒処分を下した。さらに別のハラスメント事案もあったとして懲戒休職(1か月間)とした。

「第三者委員会の調査に基づき、賞罰審査委員会がB氏らの処分の程度を決めました。フジテレビの人事的にはこれでひと段落といったところかもしれませんが、対中居氏のところは、今後まだ大きな動きがある可能性が言われていますよね」(ワイドショーデスク)

“大きな動き”とは、フジテレビが中居氏に損害賠償請求をする可能性が言われていること。5月16日、フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は昨年度の決算を発表し、201億円の赤字を報告。フジテレビ単体では328億円の赤字となった。

「大赤字の最大の要因は、一連の“中居氏・フジテレビ問題”によりほとんどのCMスポンサー企業が撤退してしまったことですよね。事態が大きくなってから5か月が経ちますが、いまだに3割程度しか戻ってきていないと言われていますね。

 また、FMHの一部株主が、旧経営陣に対して233億円を賠償を求める株主代表訴訟を起こしており、6月5日には第1回口頭弁論が行なわれました。6月25日にはFMHの株主総会があります。株主からのプレッシャーもあるなかで、フジテレビの現経営陣が中居氏を訴えるのではないか、とささやかれているということですよね」(前同)

 テレビ出演なども多い紀藤正樹弁護士は8日までにXを更新。《フジテレビが中居氏まで訴えるのか、通常なら水面下で、既に損害賠償請求をしている事案でもあり、気になる》とつづった。6月5日、取材陣の質問に対応したフジテレビの清水社長は、《我々はすべての選択肢を残したままという状態であるとしか申し上げられません》とコメントをしている。

「ささやかれる中居氏がフジから損害賠償請求をされる可能性――それにもつながってくると見られていますが、中居氏の代理人弁護士と第三者委員会の“バトル”はいまだ続いていますよね」(同)

■第三者委員会の報告書から約1か月半後――中居氏は“反論”を開始

 FMHとフジテレビが設置した第三者委員会は3月31日に公表した調査報告書で、中居氏と女性Aとのトラブルについて、世界保健機関(WHO)の定義に基づき、《業務の延長線上における性暴力だった》と認定した。しかし、約1か月半後の5月12日に中居氏側の代理人弁護士らは中居氏の《⼈権救済》を目的に、認定に至った証拠開示などを要求。

 第三者委員会は「開示しない」としたものの、中居氏側は5月23日及び5月30日に再び“反論”。《「性暴力」というレッテルを貼ったことは重大な人権侵害》だとして再度証拠の開示などを求めた。

 5月30日の文書では、中居氏の弁護人は第三者委員会の調査報告書について《「だまし討ち」に等しく》と厳しく評価し、報告書に対して《中居⽒は「愕然とした」「驚愕した」と述べています》と明かしたことでさらなる波紋を広げた。

 これを受けて6月3日、第三者委員会は《貴職らの見解と当委員会の見解の間には、依然として大きな隔たりがあり、埋め難い》とし、一連のやりとりが女性Aに二次被害を与える危険性があると指摘。《当委員会は、今後の貴職らとのやりとりを差し控えさせていただくことといたします》とこれ以上の対応はしないと明言した。