5月31日、歌手の橋幸夫(82)が一過性脳虚血発作で自宅から救急搬送された。命に別条はないという。

「橋さんといえば、アルツハイマー型認知症と診断されていたことを事務所が公表したばかり。2020年頃に失見当識(日時、場所、人物などが把握できない状態)が出始めて、22年に『軽度』、昨年12月の段階で『中等度』のアルツハイマー型認知症と診断されたそうです」(女性誌記者)

 政府の推計では、認知症の高齢者は約470万人を超え、近い将来、高齢者の約5人に1人が認知症を患うという。そんな国民病と戦うべく、今、注目を集めているのが、認知症の新しい“特効薬”だ。

 愛知県にある『いのくちファミリークリニック』の院長で、認知症専門医の遠藤英俊氏は、こう話す。

「認知症の約7割を占める、アルツハイマー型に有効なのが、23年12月に保険適用されたレカネマブ(商品名=レケンビ)と、24年11月に適用されたドナネマブ(商品名=ケサンラ)です。この2つは、抗アミロイドβ抗体薬と呼ばれ、治療に革命を起こしました」

 従来の治療薬は、神経伝達物質を増やして一時的に記憶力を維持するなど、対症療法に過ぎなかったが、

「抗アミロイドβ抗体薬は、アルツハイマー型認知症の原因物質のアミロイドβというタンパク質を脳内から除去することで、認知症の発症や進行を遅らせます。

 根本治療に近い、画期的な薬です。私がもし、認知症の疑いが出たら、絶対にレカネマブを使います。それくらい、有効な薬だと思います」(前同)