日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、「昼から夜へ」という観光スタイルの変化です!

 都市のライトアップや星空観察、ナイトマーケットやクルーズ――。いま、観光のスタイルに大きな変化が起きています。その変化を象徴するキーワードが「ナイトツーリズム」。これは文字通り、夜間に行われる観光活動やイベントを指すものです。ロンドンのナイトタイムエコノミー(日没から日の出までの夜間の経済活動)は約3.7兆円の経済効果を生み出していると言われ、日本国内でも2025年の観光トレンドとして注目を集めています。

 ナイトツーリズムが脚光を浴びている理由のひとつが「非日常感」です。ライトアップされた神社仏閣や歴史的建造物を訪れるだけで、昼間とはまったく異なる雰囲気に。京都の清水寺や高台寺などでは、期間限定の夜間拝観が行われ、幻想的に照らされた境内が訪れる人々を魅了します。また、東京や大阪では、ネオン煌めく街並みを水上から眺めるナイトクルーズが大人気。観光客の新たな楽しみ方として定着しつつあります。

 こうした夜の観光は経済効果も絶大です。昼間だけでなく夜間にもアクティビティを提供することで、観光客の滞在時間が延び、その分、飲食や宿泊、交通などの消費が増加。これにより、地域の経済が活性化し、観光業に関わる人々の雇用創出にもつながっていきます。