日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今、戸田氏が注目するのは海外で働く日本人だった!
5月放送の報道番組『news23』(TBS系)で、ニューヨークの一角にある小さな屋台が紹介されました。販売しているのは日本のおにぎり。サーモンや明太子など8種類をそろえ、1個6ドルという“手に取りやすい価格”で提供されています。この屋台を立ち上げたのは、東京で働いていた元会社員。企業留学中、現地のおにぎりの味と価格に疑問を抱き、「自分が美味しいものを作ろう」と決意。帰国後に脱サラし、再び渡米して起業したといいます。
憧れの「海外脱サラ」――しかし、日本を離れて海外で起業するのは「ロマン」だけでは語れません。彼も日本の企業を辞める際、留学費用の返済など金銭面の不安を抱えていたそう。また、フードトラック業界には縄張り意識もあり、衝突が避けられない場面も。ニューヨークでは場所取り合戦が熾烈で、文化も言語も違う中での挑戦には、強い意志とタフな体力が求められます。
一方で、それらを乗り越えた先にあるメリットも大きいのが海外起業の魅力です。日本では高品質な商品を安価で提供する“薄利多売”が前提ですが、海外では価値に見合った価格設定が主流。「これは新しくて美味しい」と評価されれば、しっかりとした市場が築けます。利益率の高さという点では、日本よりチャンスがあるかもしれません。
実際、アメリカでの起業は日本人にとって人気の選択肢。ビジネスインフラが整い、新しい商品やサービスが受け入れられやすい環境となっています。さらに、アメリカには約40万人の日本人が暮らしているという安心感も。チャレンジに寛容な風土と、成功例の多さが後押しします。
オーストラリアも人気の起業先。経済と治安の安定、時差の少なさから日本との連携が取りやすく、家族での移住にも適しています。ビザ制度や生活環境も整っており、“無理なく挑戦できる国”として注目されています。