■海外挑戦に向いている人とは?
もちろん、すべての人にとって「海外脱サラ」が最適とは限りません。文化や言語、ビジネスルールの違いなど、日本では経験しない“想定外”が多く待ち構えています。ある経営者は、英語教育をほとんど受けてこなかったため、現地の訛りに苦労したと語っています。
「海外挑戦に向いているのは日本で窮屈さを感じている人、既存の価値観に縛られない発想のある人。今の日本社会で“自分らしく生きづらい”と感じている人ほど、新しい環境で力を発揮できるかもしれません。
いまはネットを活用すれば、世界中の情報やロールモデルにもアクセスが可能です。LCCなどを使って、まずは“旅をしてみる”のも、挑戦への立派な第一歩です」(ビジネスサイト編集者)
日本の若者は、海外志向がやや弱い傾向にあります。
日本財団の調査によれば、「機会があれば他国で就労したい」と答えた17〜19歳の割合は52.8%。韓国などと比べて20ポイント以上低い結果でした。
これは個人の問題ではなく、社会が十分に選択肢を示せていないことも一因でしょう。高校や大学で「海外という道もある」と教わらなければ、その可能性を知らないまま育つこともあり得ます。
日本がこの先も安泰とは限りません。だからこそ、いま海外で挑戦する人々の姿には、次の時代へのヒントが詰まっています。脱サラしておにぎりを売る――そんな奇抜に見える商売も、近い将来、ごく自然なキャリアの一つになっていくのかもしれません。
プロフィール
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。