■時代小説だからこその面白さとは?

 時代小説ファンで知られる川西氏だが「まわりには語り合える人がなかなかいない」のだとか。「だから、たまにいるとすごく話が盛り上がる。面白いよといろんな人に伝道師のように勧めているけど、まずは漢字の多さや名前の長さに負けるなと伝えるんです。活字に面食らわずに、まあ読めと(笑)」。

 これについては今村氏も「わからない言葉があってもいちいち辞書を引いたりググったりせず、なんとなーくで読んでいったらいいと思う。何回か読んでいるうちにわかるようになるんです。英語と一緒ですよ」と時代小説を読むコツを伝授した。

 今回のオススメ本に川西氏は『イクサガミ 天』(講談社)を挙げたが「これは今までと違う角度で来てるなあと思う」と大絶賛。すると今村氏も「自分でも天才やなあと思います(笑)」と胸を張った。

川西幸一

 川西氏が「本屋さんで見かけたときはこれ1冊で終わると思っていたから、後半まで読んで残りのページがちょっとになって“これはどうやって終わるんだろう”と。読み終わってようやく次の巻があると知ったんです(笑)。もう早く続きが読みたくて」とファン丸出しの感想を伝えると、今村氏は「次巻の『イクサガミ 地』は5月16日発売で決定です」と新刊発売の予定を明かし「次は一巻目よりも分厚くなります。結構面白く書けているんじゃないかと。川西さんはどういう展開を予想しますか」と川西氏に問いかける。

「こうなって欲しいというのはあるけど……まあ、こういう場所でもそうだし、一緒に飲みに行っても“あれってどうなるの”とか聞かないでしょ、僕。聞きたくないんです」とファン心理を明かした。

 今年中には最終巻の『イクサガミ 人』も発売予定という今村氏が「実はこの作品は今まででいちばん映像化についての問い合わせが多い。映画化した場合はユニコーンが曲を書いてくれるとか、どうですか」と話すと、会場からは大きな拍手が起こった。

■それぞれの本の選び方

 司会から「書店で本を選ぶときの基準」を尋ねられた川西氏。「僕はひとりの作家さんが気に入ったら、その人の本を以前のものから最新刊まで全部買う」と回答すると、今村氏からは「めっちゃエエ読者やん……」とつぶやきが漏れる。

「本を買うきっかけは巻末にある同系の作家さんの紹介とかが多いけど、本屋さんの店頭のPОPを見て買うこともあります。“今世紀最高の〇〇”とか書いてあったらすぐ買っちゃう。それで、その人が気に入ったら全部買うんです」と川西氏が言えば、今村氏は「店頭POPを見て買ってくれるのってうれしいですよね。ちなみに僕には“風雲児”という謎のコピーがついてました(笑)」と沸かせた。

■川西幸一プロフィール
1959年広島県生まれ。ロックバンド「ユニコーン」のドラマーとして1987年にデビュー。「大迷惑」「働く男」などのヒット曲をリリースする。1993年2月にユニコーンを脱退。バンドは同年9月に解散。その後、J(S)Wのボーカル宮田和弥らと結成した「ジェット機」など、いくつかのバンドを経る。2009年にユニコーンが16年振りに再始動。現在、ユニコーンの手島いさむ、EBIとのスリーピースバンド「電大」のツアー中。

■今村翔吾プロフィール
1984年京都府生まれ、滋賀県在住。ダンスインストラクター、作曲家、守山市埋蔵文化財調査員を経て作家デビュー。2016年「狐の城」で第23回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞。2018年「童神」で第10回角川春樹小説賞受賞。『童の神 』(「童神」改題:角川春樹事務所)で第160回直木賞候補。2020年『八本目の槍』(新潮社)で第41回吉川英治文学新人賞、第8回野村胡堂文学賞受賞。『じんかん』(講談社)で第163回直木賞候補、第11回 山田風太郎賞 受賞。2021年 『羽州ぼろ鳶組シリーズ』(祥伝社)で第6回吉川英治文庫賞受賞。2022年『塞王の楯』(集英社)で第166回直木三十五賞受賞。TBS報道番組(JNN系列)『Nスタ』レギュラーコメンテーター出演中。最新刊は『茜唄(上下)』(角川春樹事務所)。