■『ぽかぽか』短縮で空く1時間をフジテレビはこう使う!

 好評なスタートをきったのだから、2時間への短縮は悪手では―ー? そう感じる人もいるだろうが、実はフジテレビがこの昼の枠を短縮に踏み切ったのには、放送番組の視聴率以外のところでの理由があるという。

 前出の制作会社ディレクターは「すばり、局としてのドラマ重視の戦略ですよ」と言い、こう続ける。

「まず、生放送のバラエティ番組を3時間制作することが大変だった、というのはあります。その上でなんですが、4月から『ぽかぽか』が1時間短縮されて空く枠では、ドラマの再放送が流される予定だと言われています。その再放送が、今のフジテレビにとっては重要なんです。

 その番組編成の狙いは、“ドラマ再放送からのサブスクへの流入”です。最近では2022年10月クールの『silent』や『エルピス』もそうでしたが、現在のフジテレビはドラマに非常に力を注いでいます。

 まず空いた1時間枠にドラマを再放送することで興味を持ってもらい、『TVer』や『FOD』への流入を期待している、ということです。とりわけ『FOD』はフジの自社コンテンツだし有料プランもあるので直接的なお金になるし、配信限定のディレクターズカット版やコメンタリーなどもやりやすいですからね。

 もちろん、勝負をかけたバラエティ番組『ぽかぽか』がウケるに越したことはないですが、同等かそれ以上に、今は収益の柱としてドラマに注目しているといいますね」

『ぽかぽか』についても『TVer』と『FOD』でさっそく配信がスタートしている。

「前番組『ポップUP!』は情報制作局が作っていた情報番組でしたが、『ぽかぽか』はバラエティ制作が担当するバラエティ番組。そして、『ぽかぽか』を自身の猛プッシュで始めたフジテレビの港浩一社長は、『とんねるずのみなさんのおかげです』初代総合演出などバラエティ畑の人間だったこと、さらには時代の変化もあり、“情報番組に未来はない”というスタンスだといいます。

 なぜならば、あくまでの情報を伝える情報番組は“見逃し配信”には向いておらず、CM以外のところでの収益化が望めないから。実際に『ポップUP!』も配信されていませんでした。

 しかし、朝の時間帯だとTBSの『ラヴィット!』が“バラエティ番組”と認知されて2021年11月から見逃し配信がスタート。『ぽかぽか』も当初から、『ラヴィット!』のやり方を狙っていたといいます」

 放送外収入が見込める『TVer』でも配信できるバラエティ番組『ぽかぽか』をスタートさせ、4月からはそれを短縮。そこで、制作費がかからないドラマの再放送を流し、サブスクへとつなげていく――。安く作ってしっかり稼ぐ、オワコン化が叫ばれるテレビ界の定番手法とも言えそうだが、フジテレビのお昼の新戦略の見通しは、いかに――。