■「サムライだよね」WBCで大盛り上がり
――ところで、WBCの話が最後に出ましたが、阪神ファンの今村先生、いかがですか。中野選手の活躍ぶりなどは。
今村 もう、活躍してうれしいとかじゃないんだよね。ウチの子、迷惑かけへんかなっていう心配がある。湯浅が打たれへんかなとか、中野は大事なところでエラーせえへんかなとか、ホンマに頼むでという感じ。
――ウチのがすみません、という感じになりますよね。
川西 でも、WBCって特に好きでもなかったチームの選手のことが好きになったりする。そういう楽しみ方もあるよね。
――川西さんは大谷選手のファンでもありますが、日本でのプレーをご覧になっていかがですか。
川西 大谷選手が大リーグに行く前の最後の試合はカープとの日本シリーズなんですよ。大谷選手が出て負けたんだけど、そのあとにアメリカに行って。テレビで解説の人たちも言ってたけど、スケールが全然違うよね。あれはやっぱりすごい。本当に野球が好きで、毎日努力しているんだと思う。
――ヌートバー選手についてはどうでしょう。
川西 いやあ、いいねえ(笑)。サムライだよね。
今村 一気に受け入れられましたよね。
川西 僕は大谷選手のファンだからMLBをずっと見てるけど、今年はエンジェルスだけじゃなくてヌートバー選手が所属するカージナルスもきっと見るようになるね。
今村 日系のヌートバー選手がああいうふうに人気が出るのって、日本の今後にとってもいいですよね。
川西 いまや完全にムードメーカーだよ。
今村 大事なところで打ってますし。
川西 彼がいちばん燃えてるよ。村上もそこまで行けよと(笑)。
今村 川西さんはカープの試合を見に行ったりするんですか。
川西 うん、テレビで見たり、Zoom‐Zoomスタジアムにも行くよ。あそこは日本で唯一のメジャー級の球場だから、ホントいいよ。
――Zoom‐Zoomスタジアムではユニコーンが始球式を務めたこともありました。
川西 EBIが投げて赤星選手にデッドボールしちゃったときね(笑)。赤星選手、その年に引退しちゃったんだよ。阪神ファンから「お前のせいじゃ!」ってめちゃくちゃ怒られて(笑)。
今村 えー!
川西 EBIがほわ~っと投げたボールを、赤星選手がお尻をピッと振ってわざと当ててくれたんだよね。そしたら、よくないことに、そのあと行ったテレビの解説席で、達川さんが「EBI、ええ仕事したのう!」って褒めちゃって(笑)。EBIも「やってもうた~」って感じだったのに、なぜかグラウンドで俺らとハイタッチしてたんだよね(笑)。
――(笑)。今日はありがとうございました!
■川西幸一プロフィール
1959年広島県生まれ。ロックバンド「ユニコーン」のドラマーとして1987年にデビュー。「大迷惑」「働く男」などのヒット曲をリリースする。1993年2月にユニコーンを脱退。バンドは同年9月に解散。その後、J(S)Wのボーカル宮田和弥らと結成した「ジェット機」など、いくつかのバンドを経る。2009年にユニコーンが16年振りに再始動。現在、ユニコーンの手島いさむ、EBIとのスリーピースバンド「電大」のツアー中。
■今村翔吾プロフィール
1984年京都府生まれ、滋賀県在住。ダンスインストラクター、作曲家、守山市埋蔵文化財調査員を経て作家デビュー。2016年「狐の城」で第23回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞。2018年「童神」で第10回角川春樹小説賞受賞。『童の神 』(「童神」改題:角川春樹事務所)で第160回直木賞候補。2020年『八本目の槍』(新潮社)で第41回吉川英治文学新人賞、第8回野村胡堂文学賞受賞。『じんかん』(講談社)で第163回直木賞候補、第11回 山田風太郎賞 受賞。2021年 『羽州ぼろ鳶組シリーズ』(祥伝社)で第6回吉川英治文庫賞受賞。2022年『塞王の楯』(集英社)で第166回直木三十五賞受賞。TBS報道番組(JNN系列)『Nスタ』レギュラーコメンテーター出演中。最新刊は『茜唄(上下)』(角川春樹事務所)。