■人と馬がつなぐ縁 改めて全力騎乗へ

 メイショウの松本好雄オーナーとも、石橋さんとも、言葉にできないほど、たくさんの思い出と感謝の気持ちがあります。

 そんなお二人の馬で、GⅠを勝てたことは、めちゃめちゃ嬉しいです。嬉しすぎて、検量室で石橋さんと抱き合ったときは、思わず涙がこぼれ落ちそうになりました。

 人がつないでくれた人の縁。馬がつないでくれた人の縁——。

 競馬の素晴らしさを改めて噛みしめることができた、キセキのような瞬間でした。

武豊(たけ・ゆたか)
1969年3月15日、京都府京都市生まれ。1987年3月1日にJRA騎手デビュー。翌1988年、スーパークリークで菊花賞を制しGⅠ初勝利。以後、オグリキャップ・サイレンススズカ・スペシャルウィーク・ディープインパクト・キズナ・キタサンブラック・ドウデュースなど歴代名馬の手綱を取り、国内外GⅠ通算100勝超を達成した“レジェンドジョッキー”である。2018年9月には史上初のJRA通算4000勝、2024年5月12日には前人未到の4500勝をマークし、2024年度JRA賞特別賞と黄綬褒章を受章。現在もトップクラスで騎乗を続ける “競馬界の第一人者”兼“最多記録更新請負人”。