■タニマチはいつまでうま味を感じるか……
だけど、そう甘くないんじゃないかな? いくらタニマチが太いからと言って、一個人「白鵬翔」となった彼に、いつまでうま味を感じてくれるのかは分からない。
たった1回の失敗で、タニマチの心は離れていくもの。オレも現役力士のとき、大嶽部屋の師匠となってからも、それを実感した。そして、白鵬がブチ上げている「相撲を五輪に」というのも、至難の業だと思う。
相撲の団体はプロの日本相撲協会とアマチュアの日本相撲連盟というのがあって、学生などの相撲は「連盟」のほうが取り扱う。連盟は「国際相撲連盟」という組織も作っていて、「相撲を五輪に」を合言葉に、「世界相撲選手権」を世界各地で1990年代から行っている。それは、男女ともに競技人口を増やすためで、故・日大相撲部総監督・田中英寿さんらが長年、力を注いでいた。
だが、それから30年が経過した今でもオリンピック種目に相撲が加わることができない。これを覆すのには、よほどの努力と説得力、資金がないと難しいだろう。

貴闘力(たかとうりき)
1967年9月28日、兵庫県生まれ。二子山部屋(入門時は藤島部屋)入門後、83年に初土俵。最高位は東関脇。2000年に幕尻(前頭14枚目)で初優勝する。02年に引退し、大鵬部屋の部屋付き親方となるが10年に野球賭博関与のため日本相撲協会を解雇される。現在は焼肉店『ドラゴ』を経営。