■地方でも「観光型スーパー」が活性化の切り札に!

 この流れは都市部だけにとどまらず、地方にも広がっています。たとえば、山梨県北杜市の地域密着型スーパーには、地元・八ヶ岳産の食材を使ったコーヒープリンが名物として知られ、県外からわざわざ訪れる人も多いそう。また、茨城県大洗町のスーパーでは、地元が舞台となったアニメ『ガールズ&パンツァー』にちなんだ“戦車バーガー”が開発され、観光客向けの商品としても注目を集めています。福井県では、恐竜をテーマにしたご当地スーパーが登場。スペアリブやスイーツなど、恐竜をモチーフとした商品が販売されています。これらの「観光型スーパー」は、新たな地方創生の切り口としても機能し始めています。

 ネット上でも、《海外に行ったら、現地のスーパーに行くのを毎回楽しみにしている》《国内旅行でも、地方のスーパーに行くと知らないお魚や珍しい柑橘類、お弁当が売っていたりしてとても楽しい》《お土産屋よりスーパーのほうが種類が豊富で安いから、お土産を買う場所が変わりつつある》といった声が聞かれます。「旅先のスーパーを訪れること」が、文化体験や商品調査、さらにはライフスタイルの理解へと発展しているのです。

 観光の新しい潮流としての「スーパーマーケット・ツーリズム」。その背景には、グローバル化した価値観と、地域ならではの個性を求める旅のニーズが重なり合っているようです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。