■名前が“ナゾ”な駅

 お次は千葉県にある『行川アイランド駅』だ。

「JR外房線にポツンと佇む無人駅なんですが、そこに『行川アイランド』という施設はないんです」(前出の『ダーリンハニー』の吉川氏・以下同)

 実はかつて、大リゾート施設『行川アイランド』があったからできた駅なのだが、同施設は2001年に閉園。以前は家族連れで賑わう駅だったという。

「プールやフラミンゴのショーが人気を博したレジャー施設で、特急電車が停車するほどの駅でした。施設がなくなっても駅名はそのままになっているところは、小田急線の『向ヶ丘遊園』と似ていますね」

 今では施設に取り残されたヤシの木や廃墟が見えるのみで、そのトロピカルな駅名とチグハグな状態。

「ただ、そのギャップがまたグッとくる駅なんですよね。ちなみに行川アイランドの跡地には『勝浦シーサイドパークリゾート』という施設開発が計画されているようです。コロナ禍で止まっているようですが、その計画が再開すれば、近い将来、元の活気が取り戻されるかもしれませんね」

 一方、それとはまったく逆のパターンで “オモシロ駅名”になってしまったケースの駅が、同じ千葉県にあった。

「山万ユーカリが丘線の『女子大駅』は、“女子大”という名前なのに、肝心の女子大は付近にありません。実は和洋女子大学の移転を見越して命名されたのですが、計画がまさかの中止に。現在は駅の近くにその大学のセミナーハウスはあるので学生の利用はありますが、このギャップは面白いですよね」

 ちなみにこのユーカリが丘線には、『公園駅』『中学校駅』と、クスッと笑えるシンプルな駅名が並ぶが、走る車両もなかなかにユーモラス。

「不動産会社が運営する珍しい鉄道なのですが、『こあら号』と愛称がつけられている車両には、開業以来冷房が付いていません。その代わり、夏には冷たいおしぼりを配るサービスがあるのです。そのわりには、最新鋭の顔認証システムを導入していて、改札は『顔パス』で通れてしまうという……。思わずツッコミを入れたくなる、愛すべき路線です!」