相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
日本相撲協会を電撃退職した元横綱・白鵬の周辺が騒がしくなってきた。
6月14日には、40歳の誕生日を祝う会「第69代横綱白鵬応援パーティー〜40歳を契機として未来を輝かせる〜」を、都内ホテルで大々的に開催。
なんでもモンゴルでは、男の40歳は欲がなくなり、次の一歩を踏み出す年とされていて、当初は、3月に40歳を迎えた白鵬の記念の誕生会という趣旨だった。
ところが、退職時期とも重なって、会場にはサッカーの本田圭祐氏、政治家の石原伸晃氏、橋本聖子氏、元大関の把瑠都氏もエストニアから駆け付けるなど、盛大なパーティになった。
そして、この日、かねてから噂に上っていたトヨタ自動車・豊田章男氏の日本相撲連盟会長就任も発表された。豊田氏はプロアマ問わず、相撲に理解が深い。
白鵬は豊田氏の支援を受け、9月にタイで行われる「世界相撲選手権」の視察に行くことになった。さらに、7月に天皇陛下がモンゴルを訪問する際も、両国をつなぐ役割を担うという。
「白鵬ダヤン相撲&スポーツ」という会社を立ち上げた白鵬だが、「ダヤン」とはモンゴル語で「世界」を意味する。やっかみもあるだろうけど、相撲協会を離れたんだから、やりたいことを思い切り、やればいい。
そんな中、元増位山さん(2代目=元三保ヶ関親方)が76歳で亡くなったというニュースも入った。
父子で大関を張って、現役引退後は勝負審判を長く務められた。「長い物には巻かれろ」という角界の中にあって、審判委員として、「この勝負はおかしい」「この力士は番付が上がり過ぎだ」などと、疑問があればハッキリ物を言う人だった。