人工知能で生成された架空のタレント「AIタレント」を広告に起用する企業が増えつつあるが、芸能プロダクション関係者からは悲痛の声が上がっているという――。
2023年9月、伊藤園がテレビCMに初めてAIタレントを起用。主力商品「お~いお茶」のCMでは、未来を思わせる世界で緑茶のペットボトルを持ち、生き生きとした表情の白髪の女性が近づいてきて、次の瞬間には若い姿に変わる――という内容だった。
野村ホールディングス(HD)は23年6月より、新NISA(少額投資非課税制度)の広告ポスターにコンピューターで生成されたバーチャルヒューマンのimmaを起用している。
immaはAIテクノロジー企業のAww社が2018年に開発したバーチャルモデル。ピンクのショートボブヘアがトレードマークで、これまで複数の雑誌の表紙を飾ったほか、SK-II、IKEAJapan、Lenovo、BMWなどのCM動画にも出演している。
芸能プロ幹部はこう話す。
「immaのインスタグラムのフォロワー数は39万、TikTokは46万とインフルエンサーとしても大きな注目を集めていますし、各企業やメディアから引っ張りだこ。23年12月には嵐・松本潤さん(41)とも“共演”していました。
21年9月の東京パラリンピックの閉会式にも登場しましたし、開催中の大阪・関西万博の開会式では司会進行を担当。AIですから多言語に対応でき、万博というイベントにはうってつけのキャスティングだったのではないでしょうか。
日に日にAI技術は向上していてimmaもパッと見ではAIだとわからないほど。そして何より、AIタレントは絶対にスキャンダルを起こしません。ですので、自社の広告に起用したいという企業はさらに増えていくと見られていますね」