芸能界を知り尽くす山田邦子が、昭和・平成・令和の“あの人との思い出”を語るコラム。ゆかりのある芸能人との裏話や舞台裏を通じて、芸能界の今昔を浮き彫りにする。
長嶋茂雄さんが亡くなったと報道された日は、地方で講演会があったんです。
「皆さん、ご存じだと思いますが、長嶋さんがお亡くなりになって……」
こう講演で話したんですけど、その日の会場は若い女性ばかり。反応が少なくて寂しかったなぁ。
講演会が終わって東京に戻ると、すかさず50〜60代のおじさんたちに声をかけ、お酒を飲みながら長嶋さんのことを語り合いました。
先週も書きましたが、長嶋さんとお会いしたのは、宮崎キャンプでの蕎麦屋さんが最初で最後。オーラがまぶしかったなぁ。
王貞治さんとは、芸能人VS巨人軍の運動会や歌合戦といったテレビ番組の企画で、何度も共演したんです。だけど、長嶋さんは、そういった企画に出演することはありませんでした。
王さんは人格者です。あるとき収録で、体調を崩している私に「大丈夫? 今日は帰ったほうがいいんじゃない?」と声をかけてくださったこともありました。
「ありがとうございます。いつも具合が悪くても、やっているので大丈夫です」
そう私が話したら、
「いや、休んだほうがいいよ。僕からディレクターに伝えるから」
王さんに言われては、スタッフも従わざるをえません。おかげで、その日の収録は、お休みさせていただきました。王さんの優しさは忘れられませんね。