■大卒監督の利点はその人脈にあり!
一方、大卒の監督は阿部慎之助(巨人)、新井貴浩(広島)、髙津臣吾(ヤクルト)、小久保裕紀(ソフトバンク)、岸田護(オリックス)、西口文也(西武)。こっちも6人や。
つまり、監督をやるのに、大卒も高卒も社会人経験も関係ないわけや。ところがだ。ことタイガースに関しては、歴代監督の学歴は圧倒的に大卒が多い。
例えば、ワシがプロに入った1968年以降、タイガースの監督は18名。このうち高卒は金田正泰さん、藤田平さん、中西太さん、野村克也さん、そして球児の5人しかおらん。
しかも、現役時代もタイガースでユニフォームを着た高卒監督となると、金田さん、藤田さん、球児の3人だけや。もともと中西さんは西鉄、ノムさんは南海で活躍した人やからな。
つまり、先の野球ファンが指摘した通り、タイガースの監督は大卒が幅を利かせとることになる。その理由をワシなりに考えてみたんやけど、やっぱり、人脈が大きいんとちゃうかな。
高校は私立の強豪校のように、各県から有望選手を集めるケースもあるけど、たいていは地元の選手が中心や。一方、大学は全国から選手が集まってくる。要するに「1県」対「47都道府県」くらいの差ができるわけや。同僚によるヨコの関係も、先輩後輩のタテの関係も、大学のほうがかなり幅広い。これがプロに入っても生きてくる。
なぜなら親会社から出向してくる球団社長やら職員かて、たいていは大卒や。球団オーナーも同じや。同じ大学同士の絆は案外、強いしな。そう考えると、大卒監督が多いのも分かる。
ところで、金田正泰さん、藤田平さん、球児の3人の高卒監督で、ピッチャー出身は球児だけ。それだけにワシは球児に期待しとる。
川藤幸三(かわとう・こうぞう)
1949年7月5日、福井県おおい町生まれ。1967年ドラフト9位で阪神タイガース入団(当初は投手登録)。ほどなく外野手に転向し、俊足と“勝負強さ”で頭角を現す。1976年に代打専門へ舵を切り、通算代打サヨナラ安打6本という日本記録を樹立。「代打の神様」「球界の春団治」の異名でファンに愛された。現役19年で1986年に引退後は、阪神OB会長・プロ野球解説者として年間100試合超を現場取材。豪快キャラながら若手への面倒見も良く、球界随一の“人たらし”として今も人望厚い。