■感覚派の世代にはSNS戦略が必要不可欠

 一方、SNS活用には注意点もあります。韓国では、報酬付きインフルエンサー投稿や過剰に編集された動画が問題視され、日本でも「実際と違う」「盛りすぎ」といった声が少なくありません。見る側のリテラシーが問われる時代になってきました。

「今の若い世代は、“美味しさ”だけでは動かないんです。重視しているのは“誰と” “どこで” “何を”食べるかというストーリー。

 最近では、“信頼している友人が紹介していた店”とか“バズっていた雰囲気のいい場所”という文脈からお店を選ぶ傾向も強まっているように感じます」(グルメ誌ライター)

 料理の味だけでは人の心を動かせない時代。SNSや地図アプリは、飲食店との出会いの入口にすぎません。“行ってみたい”という衝動をどう生むか、そして“来てよかった”という満足感をいかに提供するか。その両立こそが、これからの飲食店経営の鍵になるのではないでしょうか。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。