■再登場が期待される3人

『あんぱん』の戦争編で妻夫木は、嵩(北村)の上官・八木信之介上等兵として登場した。一見すると冷徹だが、嵩が井伏鱒二の詩集を愛読していたことから「同じ匂い」を感じ、理不尽な暴力を受けないように手を回してくれた優しい男である。6月19日放送回では、戦争の虚しさからやり場のない怒りを嵩にぶつけて悲痛な叫びをあげるシーンがあり、多くの視聴者が涙することになった。

 そんな八木は、公式サイトに《戦後、嵩と思わぬ再会を果たし、朝田のぶ(今田美桜)と嵩の人生に大きな影響を与えるようになる》という一文があるのだ。

「次に期待されているのが、嵩の両親。松嶋菜々子さん(51)演じる登美子と、二宮和也さん(42)演じる清ですよね。清は、物語が始まる前に亡くなっていますが」(前出のテレビ誌編集者)

 登美子は清の死後、幼い嵩を捨てて別の男の家に嫁いだり、再会後には嵩に自分の理想を押しつけようとしたりと、“毒親”として描かれていた。

 しかし、根底には母親としての深い愛情があり、嵩が出征することとなった6月6日放送回では、嵩に泣きながら「逃げ回ってもいい! 卑怯と思われてもいい! 死んだら駄目よ。生きて帰ってきなさい!」と訴えかける、感動のシーンが描かれたのだ。

 そして清は、本編前に病死していたが、戦争編の終盤、6月19日放送回に“栄養失調で倒れた嵩が見た夢”の中で再登場。嵩が中国の現地民の信頼を得るために作った紙芝居を褒め、「みんなが喜べるものを作るんだ。何十年かかったっていい。あきらめずに、作りつづけるんだ」と、エールを送った。

「登美子は戦後にも再登場すると見られています。二宮さん演じる清の活躍もまだまだあるでしょう。もう1度、嵩が“みんなが喜べるもの”――それこそ、『アンパンマン』を完成させた際などに、やはり嵩の夢の中に登場するのではないでしょうか」(前同)

 SNSでは、

《そろそろ、登美子が「I‘ll be back」するんじゃないだろうか》
《菜々子…登美子はどこで何をしとるんや。嵩、生還したで》
《八木さんの再登場、首を長くして待っております》
《(生前の職業は)記者の清お父さん 想い出に登場しますように》

 と、各キャラの再登場に期待する声が寄せられている。

 今後の『あんぱん』キャストに期待することについて、長年の朝ドラウォッチャーのドラマライター・ヤマカワ氏はこう話す。

「一番、再登場が楽しみなのは松嶋菜々子さんですね。彼女が演じる登美子は上京した嵩と再会することになると思いますが、 登美子の言動はいつも想像を超えてくるので、戦争を経て、いったいどんな女性になっているのか気になります。

 大森元貴さんは演技は未知数かと思っていましたが、Mrs.GREEN APPLEのファンの間ではMVで見せる表現力が凄いと評判ですし、映画『#真相をお話しします』(4月25日公開)では2面性のあるキャラを巧みに演じていましたね。

『あんぱん』では作曲家・いずみたく氏をモデルにした役ですが、同じくミュージシャンで、朝ドラ『エール』で作曲家・古賀政男氏をモデルにした役を演じ、その後、NHKのドラマ『舟を編む』などで俳優としても活躍しているRADWIMPS・野田洋次郎さんに負けない演技を期待できそうです」

 脚本の評価が高く、一流俳優たちが渾身の演技を見せてくれる『あんぱん』。ここからさらに、18%、19%と視聴率を伸ばしていきそうな雰囲気が漂っている――。

ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。