■厳しくなった風営法、ホストクラブ会長の「見方」は
――風営法が改正され、規制が厳しくなったことについてどうお考えですか?
「今回の法改正では、近年にない規模の改正がなされたと考えていますが、特段規制が厳しくなったとは思いません。改正の背景としては、営業形態の多様化、競争の激化により、一部、許されない方法での営業活動をする店舗が出てくるなど、全国でも問題になる事案が多く発生。こうした悪質な営業活動を野放しにしてはいけないという、社会の要請が高まっているからだと理解しています。
ですが、まず虚偽の料金説明をしてはいけないというのは、そもそも当たり前のことです。スマッパ本店では、法改正よりずっと前から、いわゆる“飲み屋特有”のわかりづらい料金システムをなくし、メニューに記載された価格がそのまま会計に反映される、明朗な料金体系を採用しています。
それ以外の禁止行為が追加されたことについても、詐欺まがいの手法が一部で常態化していたことに対する、ひとつの警鐘として受け止めています。注文をさせるために威迫行為をしてはならないとか、支払いをさせるために売春行為などをさせないというのは、禁止されて当然の行為です。ですので、特段規制が厳しくなったとは思っておらず、むしろ当たり前にあるべき姿が街全体に対しても明文化されたと考えています。何が問題とされ、なぜそれが問題なのかを丁寧に考え、理解しようとする姿勢こそが、今いちばん大切なことだと思っています」(手塚氏=以下同)
――広告表現にも規制が入りました。
「広告に関して今回の件は、法改正による『規制』ではなく、法の解釈についての『通達』であり、どんな表現が望ましくないのかという考え方が示されたものだと受け止めています。
本来は、すごい人だから売上がある、魅力があるからフォロワーが多い、という順序であるべきです。ところが近年、『数字があるからすごい』という価値観がホスト界に限らず一般社会でも当たり前のように広がり、その傾向がこの界隈では特に顕著に表れ、過度に利用されてきた。今回の通達は、そうした風潮へのひとつの注意喚起だと感じています。
良いサービスをしていれば、結果として数字はあとからついてくる。だからこそ、言葉を丁寧に、大事に扱う良い機会だと思います」
――今後、ホストクラブの集客方法にどのような変化が生まれるとお考えですか。
「今回の改正が『女性を守る』という視点で行われたことには、強く共感しています。ホストクラブは、女性がただ受け身で接客を受ける場所ではなく、自らの意思で能動的に楽しめる空間であるべきです。
繁華街というのは、少しはめを外すような夜があっても許される、非日常を味わうための場所です。お酒を飲み、心を緩め、日常からふっと解き放たれる。そうした時間が、また明日を生きる力になる。そんな場所でありたいと思っています。
だからこそ、そこにいるホストには、ユーモアがあり、空気が読めて、上質な時間を提供できる教養と感性が求められます。ただの接客ではなく、“遊び”そのものの質を高めていくこと。それが、この街の文化を守り、育てていく鍵だと考えています」
今回の法改正が、夜の街のイメージを変えるきっかけとなるか──?