■飲みかけペットボトルの扱い方に注意

 ここまで夏場に飲んでおきたい飲料を紹介したが、気になるのは、その保存方法。車やカバンの中に放置してしまった飲みかけのペットボトル飲料が雑菌の温床になっているなんて話もよく聞く。

 雑菌が増える条件とは、いったい何なのか?

「雑菌が増殖するのには、温度、水分、栄養源、そしてpH値が関係しています」(前出の管理栄養士の望月氏・以下同)

 どれも水分であることは同じなので、温度、栄養源、pH値が決め手になる。

「温度は30~40℃、栄養源は糖分などの炭水化物、pH値は中性であるpH6~7.5が、雑菌にとって好環境といわれています」

 ちょっと複雑だが、スポーツドリンクや柑橘系のジュースには雑菌が好む糖分が含まれているものの、酸性で保存料も含まれているため雑菌は増えにくいという。水やお茶も中性ではあるが糖分が含まれていない分、また、お茶にはポリフェノールのカテキンといった抗菌作用のある成分も含まれている分、雑菌が増えにくい、ということになるのだそうだ。

「ただし、麦茶は注意が必要ですね。中性であるうえに、茶葉に抗菌作用が高い成分も含まれていません。代わりに入っている麦は炭水化物です。特に自宅で煮出した麦茶には保存料も入っていないため雑菌が繁殖するリスクは高いんです」

 では、どこに注意すればいいのだろうか?

「保存はできる限り冷蔵庫で行い、口をつけたものなら常温で4時間以内、冷蔵庫に入れてあっても1日ほどで飲み切ることを心がけましょう。なお、口をつけると雑菌がペットボトルに移ってしまうので、もし中身を入れ替える場合は、口をつけたボトルは使わず、清潔なボトル同士を使ってください」

 いのちの水で、今年の酷暑も賢く乗り切っていきたい。

望月理恵子
管理栄養士、健康検定協会理事長。「根拠のある情報から、栄養・健康をサポートする」ことを目的に、健康効果のある食事の提案、レシピ開発を行う株式会社Luceを運営。プライベートジムRIZAP立ち上げ時の栄養監修や服部栄養専門学校特別講師、山野美容芸術短期大学講師、小田原銀座クリニック栄養顧問など幅広い活動を行っている。