終わらなかった“夢の舞台”

 礒部氏は、こう振り返る。

「新庄さんとはチームこそ違いましたけど、ベンチでも“なんとか盛り上げてみるよ”と言ってもらえて。だから、本当に嬉しかったですね」

新庄剛志、04年 伝説のホームスチール 画像/産経ビジュアル

 球界再編騒動が沈静化した05年、新球団・楽天の初代選手会長&主将となった礒部氏は、チームでただ一人、ファン投票での出場を果たしている。

「第2戦の甲子園でのホームラン競争で、助っ人勢を相手に打撃投手も務めてね。肩の荷が下りた分、05年のほうが、純粋にプレーを楽しめました。やっぱりオールスター戦は夢であり、憧れの場ですから」(スポーツ紙デスク)

 仮にもし、あの年、1リーグ制が実現していれば、オールスター戦も消滅していた可能性は高い。

「近鉄の本拠地だった藤井寺球場の跡地にあるモニュメントも見に行きましたよ。学校とマンションが建って、ずいぶんと景色が変わったなあと」(スポーツ紙デスク)

 あれから、ちょうど20年。夢の球宴は変わらずにある。礒部氏が見に行ったという、野球帽を被った少年が目をつむって座っているモニュメント、その名は“白球の夢”だ。

今年のオールスター見どころチェック!

両リーグの「飛ばし屋」対決
 首位・日ハムの原動力であるパリーグ本塁打数トップの万波中正、両リーグトップの本数をかっ飛ばしている阪神・佐藤輝明。両者とも「全打席で本塁打を狙う」と宣言。飛距離にも定評ある両者が、どこまで飛ばすか。

高校の同級生対決
 17年夏の甲子園を制覇した埼玉の花咲徳栄出身の中日・清水達也と西武・西川愛也がそろって初選出。彼らは、これまでオープン戦&交流戦で対決がない。その17年と翌18年にともに夏の甲子園を戦ったのが神奈川の横浜出身の阪神・及川雅貴と日本ハム・万波。後輩の及川は「ストレートで勝負する」と先輩越えを狙う。

ベンチ内の「人見知り選手」
 初出場の広島・島内颯太郎は「他球団にあまり友達がいないので、これを機会に作りたい」とドキドキ。球宴ではワイワイとしたベンチを映すカメラワークも多いが、2011年には当時、日本ハムの斎藤佑樹が誰とも会話することなく、無表情で座っているシーンが話題となった。島内の社交性に注目だ。

怪腕モイネロの「超変化球」
 交流戦で23イニング37奪三振という驚異の成績を挙げたNPB最強左腕は「打者が倒れてしまうような向かっていくカーブを投げる」と豪語。シーズンでは未解禁の魔球が見られるか!

古巣の「甲斐包囲網」
 巨人に移籍して初となる甲斐拓也は古巣勢からの挑戦状が。ソフトバンク・山川穂高が「甲斐キャノン対山川の足」と盗塁を狙うと、周東佑京が「僕の本塁打を間近で見せてあげたい」と語り、柳町達は「僕は甲斐さんの打球を取りたい」と宣言。どうなる、甲斐!

ベテラン松葉の「父の背中」
 ここまでリーグ3位タイの7勝を挙げている中日・松葉貴大がプロ13年目の初選出。監督選抜での出場となる苦労人は「ナガシマスパーランドを予約していたんですけどキャンセルしました」と家族旅行を中止にしての背水の陣(?)。ちなみに昨年も楽天・鈴木大地が旅行をキャンセルしての出場で、2試合で2安打の活躍を家族に見せている。

【ファン投票選出】    パ・リーグ             セ・リーグ        
投手部門 先発 宮城大弥(オリックス) 村上頌樹(阪神)
投手部門 中継ぎ 甲斐野央(西武) 大勢(巨人)
投手部門 抑え 田中正義(日本ハム) 松山晋也(中日)
内野手 捕手 若月健矢(オリックス) 甲斐拓也(巨人)
内野手 一塁 頓宮裕真(オリックス) 大山悠輔(阪神)
内野手 二塁 太田椋(オリックス) 牧秀悟(DeNA)
内野手 三塁 清宮幸太郎(日本ハム) 佐藤輝明(阪神)
内野手 遊撃 紅林弘太郎(オリックス) 矢野雅哉(広島)
外野手 万波中正(日本ハム) 森下翔太(阪神)
外野手 西川龍馬(オリックス) 近本光司(阪神)
外野手 渡部聖弥(西武) 岡林勇希(中日)
指名打者 レイエス(日本ハム)