■猪木×長州力が店内で鉢合わせ

 私の聞き方も悪かったと思いますが、馳さんも海外修行から帰ってきたばかりで、日本のテレビに慣れていなかったから、変なタイミングで怒ってしまった。下手くそ同士だったんです。

 この件はプロレスファンに、ずーっと言われ続けました。雪解けは2021年1月4日。プロレスリング・ノアの興行にゲスト参戦した馳さんが、解説席に座る私にグータッチを求めたことで、ようやく〝犬猿騒動〟が落ち着いたんです。30年以上かかりましたね。

 実は、馳さんが怒ったのには裏事情があって。師匠にあたる長州力さんが「馳、かましてこい」とたきつけたそうなんです。『ギブUPまで待てない!!』終了後、共通の知人を介して長州さんと仲良くなったら、「アレは俺が馳に言ったんだ」と明かしてくれました。

 プロレスの会場で見る長州さんは、まぁ怖い。試合前は狼のような目になって、入場中もファンに愛嬌を振りまくことはありません。そして、試合が終わったらスタコラ帰っちゃう。

 でも、リングを離れたら柔和で優しいんです。一緒に焼き肉に行くと、長州さんがずっと肉を焼いて、お皿を変えたり、ドリンクを注文してくれたり、すごく気を遣ってくださいます。

 六本木のある店で、いつもはそうならないように配慮しているけど、猪木さんと長州さんが鉢合わせたことがあったんです。私もそこにいましたが、店内は「何か起きるんじゃないか」と空気が張り詰めていました。その場にいた永田裕志が取り持って和やかな空気になりましたが、私は、ちょっと残念だったかな(笑)。

 引退後、バラエティ番組に出るようになって、皆さんも長州さんが優しい方だと分かったと思います。今は熱海に住んで、お孫さんを溺愛しているそう。当時は、長州さんとの結婚を夢見たんですけどね。

撮影/小島愛子

山田邦子(やまだ・くにこ)
1980年、芸能活動開始。81年、デビュー曲「邦子のかわい子ぶりっ子バスガイド編」で有線大賞新人賞受賞。『オレたちひょうきん族』『やまだかつてないテレビ』などで人気になり、多数の冠番組を持つ。2024年10月「日本喜劇人協会 11代新会長」に就任。