阪神タイガースのレジェンド、“ナニワの春団治”こと川藤幸三が猛虎愛を語り尽くす熱血コラム。OB目線の激励から時には喝も……熱き魂が炸裂する!

 プロ野球の監督には二つのタイプがおる。一つはマスコミ受けの、いいコメントを発するタイプ。もう一つはコメントが少なく、記者泣かせのタイプや。

 前者の典型はノムさんやろう。ベラベラようしゃべったし、独特のボヤキはスポーツ紙だけやなく、テレビのスポーツ番組でも取り上げられたからな。

 ノムさんがファン向けのトークに力を入れたのは、南海ホークスにいた頃の苦い思い出があるからや。

 当時の関西のスポーツ紙といえば、書かれてるのはタイガースのことばっかで、南海のことなんか、紙面の片隅にちょこっとあるだけ。そんな印象やった。だから、ノムさんは新聞の見出しになりそうなコメントを次々に発したわけや。

 その経験は、まだ弱小球団やった楽天の監督になって、さらに生きた。「マー君、神の子、不思議な子」なんて名言も生まれたしな。

 タイガースで監督してた頃も、負けが込むと、ボヤキに拍車がかかった。

「勝ったら奇跡、負けたら平常運転」

「期待して負けると腹が立つから、もう期待せん」

 言いたい放題やった。

 一方、口をつぐむことが多く、記者泣かせだったのが中日の落合博満やろう。そして、V9時代の巨人を率いた川上哲治監督は落合以上に寡黙で、徹底した取材規制は「哲のカーテン」なんて呼ばれたもんや。