広瀬すず(24)主演の『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)は、田舎育ちで天真爛漫な女性が、音楽家になるのを夢見る青年と出会い、東京で夢や恋を紡ぐラブストーリーだ。最終話は、空豆(広瀬すず)はパリで成功を手にするが、心がついていけず帰国していた。一方、音(King & Prince永瀬廉/24)は自身のユニットが成長して紅白出場を手に入れるまでになっていた。夢を叶えた時に想うのは、心の中にずっといる大切な人だった。

■大切な人への想いを一途に貫いた空豆と音

 空豆と音は、もはや恋愛感情を超えた愛情となっていて、自分よりも相手の幸せを優先してしまうぐらい大切な人になっていた。そして、自分が夢を叶えることを一番に願ってくれているのが分かるから、成功した自分を見せてあげたい。それは、自分以外の誰かを好きになってしまっても、遠くへ行ってしまっても、揺るぎなかった。

 だから音は空豆への想いを胸に、『紅白歌合戦』出場の栄誉を獲得するまでに成長することができた。空豆もパリで数々の成功をおさめることができた。だけど、多忙な中で心がついていけず帰国をしていた。それは音も知っていたのだろう。アリーナツアーの招待チケットを送っていたのだ。

 空豆は、チケットを手に会場まで足を運ぶも「場違いだ」と感じて帰ってしまう。3年が経過しても、好きな気持ちを伝えないままなのかと思われたが、音が動いた。

 空豆はスマホの充電が切れる直前、音から送られたメッセージの途中までを見ていた。「11時にあの…」まで読めたが、充電が切れてしまい最後までは確認できなかった。だけど、ポケットから落としたAirPodsを見て「11時にあの…(交差点で会おうとか?)」と走り出す。まだ何者でもなかった自分たちが、すれ違いざまにぶつかってお互いのAirPodsを落とした、あの運命の交差点だ。

 だけど、音は来なかった。わずかな可能性にかけた空豆は、悲しみのどん底で自分のマフラーを柱に巻き付け、音への想いを置いて去っていた。またもすれ違うのかと半ばあきらめたが、走って追いかける音がいた。空豆がパリに飛び立った日、スタジオの窓から遠くの飛行機を見上げていた、あの音ではなかった。