■老Guyは若者を鍛えるための装置

 1981年、師匠が始めた木曜深夜のラジオ『ビートたけしのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)。俺たちの世代に、どれだけの影響を与えたことか。

 金曜日になると、みんな師匠と同じしゃべり方をしていたからね。

 当時、師匠は34歳。俺は、中学1年だったから20歳以上も年が違うわけ。

 それでも、圧倒的に面白いから2時間笑いっ放しだ。でも、フリートークの中に炭団だとか分からない言葉が出てくる。今みたいにネットがないから辞書で調べるしかない。面白いから喰いついて調べるんだけどね。

若者は知らない炭団

 老Guyも、教える側なんだから、若者が興味を持つような言い方をしないと、彼らは聞く耳を持たない。

 一部の天才を除き、苦労もノルマも達成しないまま一人前になった奴など、いない。それは綿々と続いてる事実なんだから。

 では、どうするべきか。俺たち老Guyは、若者を鍛えるための装置だと思われればいいんじゃないのか。

 ちょっとした“大リーグ養成ギブス”だ。これも、昭和な例えなんだろうけどさ。老Guyには説明不要。若者はググれ。

 その負荷に耐えられたら、大抵のことは乗り越えられるし、一皮剝ける。俺たちを大人養成ギブスだと思って、星飛雄馬気分を楽しんでもらう。ゲーム感覚だよ。

 老Guyは自動的に星一徹ということになるんだが、もちろんパワハラはご法度。マイルドな‟父ちゃん”になるしかないんだ。

玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう)
1967年生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入りし、翌年、水道橋博士と浅草キッドを結成。一般社団法人全日本スナック連盟会長。