相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。

  大相撲夏場所が始まった。今場所、大の里が横綱に昇進したことで、「先輩横綱」の豊昇龍の尻に火がついている。

 場所前は積極的に出稽古に行って、横綱の威厳を見せつけたあたりは、叔父の朝青龍のやり方にそっくりだ。豊昇龍は春場所で横綱になったものの、春場所、夏場所と大関・大の里に連覇されて、相当悔しい思いをしている。横綱として一刻も早く優勝したいという気迫を全面に出して、場所を盛り上げてほしいね!

 それと、今場所の番付では1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、初めての「珍事」が起こった。

 先場所、小結で6勝9敗と負け越した髙安が、小結の地位に留め置かれたのだ。番付というものは、根本的に、負け越せば翌場所、番付が下がる仕組みになっている。たまに、7勝8敗だった力士の番付が下がらない例もあったりするが、三役以上では、75年ぶりだ。