■シンプルに楽しみたい『DOPE』

 警視庁捜査一課の管理官・椿誠司(忍成修吾/44)、巡査部長・戸倉俊仁(小池徹平/39)、新宿中央署の強行犯係係長・本郷壮一(佐野和真/36)らが裏で動いていることが描かれた今回。警察内に裏切り者がいることが明かされるのが、思ったよりも早かった。

 また、陣内の亡き妻でジャーナリスト・香織(入山法子/39)が書いた、5億円強奪事件の記事を才木が探し出し、そこには、押収した5億円が盗まれて、犯人は警察内部にいると記されていた。ここまで謎が謎を呼ぶ展開となり、ミステリ要素が多めかと思ったのだが、そちらは主軸ではなさそうだ。

 毎回、様々な事件が起き、能力を覚醒させたDOPE服用者(ドーパー)が特捜課のメンバーを襲うが、犯罪捜査ものにありがちな、一般人を巻き込む流れがほぼない。巻き込まれることがあっても深堀りせずに流していて、結局、麻薬取締部特捜課と警察と犯罪シンジケート・白鴉(ハクア)の3者で物語が動いている。

 謎の新型ドラッグ・DOPEに関するミステリー部分は、その三者の争いを盛り立てる要素に過ぎないのだろう。つまり、ストーリーは二の次の割り切った作りということだ。

 もともと、本作は“アクション・エンターテインメント”をうたっている。見るべきはミステリー部分ではなく、映画の「マーベル」シリーズにキアヌ・リーブス(60)主演『マトリックス』を足したようなアクションや、中村倫也の色気、厨二病的世界観を楽しむのが正解なのだろう。

 ただ、そのアクションも、陣内(中村)の超視力で銃弾を避け、綿貫(新木)が怪力で重いものをぶん投げ、最後は陣内がドーパ―を仕留めるという流れがパターン化していて、早くもマンネリ化しているのが気になる。アクションエンタメをうたう以上、今後は、さらに盛り上がる演出を考えているのだろうが……。

 刺殺された妻の復讐をしたい陣内、家族を守りたい才木、まだ本当の狙いがわからない白鴉のジウ(井浦)らが、どれだけ派手な活躍をするかが、今後、より盛り上げる鍵になるだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。