阪神タイガースのレジェンド、“ナニワの春団治”こと川藤幸三が猛虎愛を語り尽くす熱血コラム。OB目線の激励から時には喝も……熱き魂が炸裂する!
セ・リーグのショートを見ると、どの球団も世代交代が顕著になってきたな。
タイガースは木浪聖也のケガで小幡竜平がスタメンに入るようになったけど、2人の勝負はこれからも続くやろう。巨人は坂本勇人が三塁に回り、泉口友汰がレギュラーを掴みつつある。広島は矢野雅哉が昨季、ゴールデングラブ賞に輝き、今季はオールスターファン投票で1位にもなった。
ヤクルトは負傷離脱したけど、長岡秀樹が攻守のバランスで頭一つ以上抜けたし、DeNAは森敬斗、中日は村松開人あたりが若手のホープや。
この中でワシが押すのが広島の矢野。とにかく守備のうまさには舌を巻く。守備範囲は広いし、肩は強い。打球に対する反応も速い。グラブさばきも、身のこなしも柔らかい。三遊間の深い当たりを捕り、一塁に矢のような送球をして打者走者を刺すプレーを見てると、ホンマに惚れ惚れする。
こんなショートを見るのは、ヨッさん(吉田義男)以来とちゃうかな。つまり、半世紀ぶりに現れた本格的な遊撃手ちゅうことや。
監督の新井にも去年、言うてやった。
「とんでもないショートが出てきたな。あんだけ守ってくれたら、打たんでもええわ。2割打ってくれたら、御の字とちゃうか」
ワシの言葉に、新井もニヤニヤしてたけどな。