日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回注目したのは、独自の戦略でビジネス展開するドラッグストア業界。

 全国で約2万3000店舗を数えるまでに成長したドラッグストアは、今や‟薬だけじゃない”多機能型の店舗へと進化を遂げました。

 薬を購入するために訪れたついでに、ヘアオイルはまだしも、納豆や生鮮食品まで購入する利用者も増加傾向にあります。従来の薬局のイメージから脱却し、スーパーマーケットと肩を並べる存在として台頭しているんです。

 こうした背景には、激化する競争を生き残るための各社の独自戦略が見て取れます。

 健康や美容などに特化した自社ブランド『からだWelcia』や『くらしWelcia』を展開しているのは、業界売上1位『ウエルシア薬局』。プライベートブランドの商品数は約300以上にのぼります。

 中には、冷凍食品やスイーツなど、日常の“ちょっとした楽しみ”を提供する商品も。たとえば『ひと口でメロメロになるクラウンメロンアイス』などユニークなネーミングの商品も好評で、果物の王様クラウンメロンを贅沢に使った濃厚な甘さが魅力です。

 こうした商品開発競争は、コロナ禍で需要が高まった冷凍食品の分野でも熱を帯び、東京の有名ラーメン店の店主と開発した『あの店主がつくったメニューにはない炒飯』も話題を呼んでいます。

 業界3位の『マツモトキヨシ』も美容部門を中心に商品開発を強化。2021年に『ココカラファイン』との経営統合を経て、女性用化粧品に加え、最近は『マンダム』との共同開発による男性向け化粧品市場にも本腰を入れています。

 また、石川県を本拠とする『クスリのアオキ』は、フード&ドラッグ業態にいち早くシフト。店舗に入るとキャベツやキュウリといった生鮮野菜が並び、内装はまるでスーパーマーケットのようです。

 お惣菜も店内調理にこだわり、出来立ての食事をリーズナブルに提供しています。