■当歳セリの主役は世界最強馬の産駒

——もしも1頭だけ、ダービーで乗れるとしたら、どの馬を選びますか?

 聞きたくなる気持ちは分からなくもありませんが、それは永遠に答えの出ない問題です(笑)。

 この日、上場された馬は、どの馬も見惚れてしまうほど素晴らしい馬ばかりで、チャンスをいただけるなら全部に乗ってみたいというのが本音です。

 初日のキタサンブラックに代わって2日目に主役を務めたのは、彼の血を受け継いだ新種牡馬、イクイノックス産駒でした。

 5億8000万円で落札されたミッドナイトビズーの2025など、ベスト3を独占。期待値の高さはかなりものです。

 父を、祖父を越えるのは容易なことではありませんが、競馬サークルの一員としては、越えるような馬が出てきてほしいし、できるならば、僕と縁が結ばれることを願ってやみません。

武豊(たけ・ゆたか)
1969年3月15日、京都府京都市生まれ。1987年3月1日にJRA騎手デビュー。翌1988年、スーパークリークで菊花賞を制しGⅠ初勝利。以後、オグリキャップ・サイレンススズカ・スペシャルウィーク・ディープインパクト・キズナ・キタサンブラック・ドウデュースなど歴代名馬の手綱を取り、国内外GⅠ通算100勝超を達成した“レジェンドジョッキー”である。2018年9月には史上初のJRA通算4000勝、2024年5月12日には前人未到の4500勝をマークし、2024年度JRA賞特別賞と黄綬褒章を受章。現在もトップクラスで騎乗を続ける “競馬界の第一人者”兼“最多記録更新請負人”。