■期待したい高橋海人の演技

 視聴率の数字が落ち気味なのは、5億円強奪事件、陣内の妻の死の真相、ジウが所属する犯罪シンジケート・白鴉(ハクア)の目的など、本筋がなかなか動き出さないというのもあるが、なによりも物語のトーンが暗いことが原因だろう。フィクションとはいえ次から次へと人が死に、その解決策が見えてこないというのは、見ていてしんどいところがある。

 序盤はコミカルなシーンを入れてバランスを取っていたが、今回はかなりシリアス寄り。そんな中での注目シーンが、大学生の木下が“変身”の異能力を使い、才木の姿になっていたところに才木自身が鉢合わせして驚いたところ。X上では、《自分が2人いた時の海人のリアクションが良すぎる》などと大ウケだった。

 高橋は苦悩するキャラを演じるのがうまいが、いかんせん、本作の才木は苦悩するシーンが多くて重い。ところが、今回のもう一人の自分と会って驚く高橋の演技は、苦悩からの振れ幅もあり、空気をガラッと変える力があった。このように、高橋のコミカルな演技が入ってくると、ドラマ全体の雰囲気も変わるかもしれない。

 また、今回の終盤、特捜課のメンバー・綿貫光(新木優子/31)が電話で会話するシーンで、父親役で登場した西島秀俊(54)にも期待したい。光が介護している祖母について問題を抱えており、今後、声だけでなく本人が登場してもおかしくない。西島の参戦が実現すれば、中盤以降の起爆剤になるだろう。

 公式サイトで、奥貫薫(54)ら4人が新キャストとして発表され、某国の特殊機関に所属する“異能力者ハンター”など、特捜課のメンバーの新たな敵になるようだ。異能者狩りが行われることで、アクションが多めになり、ドラマの雰囲気、視聴率の数字ともに、ガラッと変わることに期待だ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。