■月9とのテイストかぶりが原因か
ドラマチックな展開はないが、なにより生徒たちの描写がリアルだ。その中のひとつが、視聴者の指摘にあるように、生徒の問題を安易な恋愛オチにしないことで、ドラマの世界観に奥行きを与えている。生徒役も越山をはじめ演技力が高いうえ、真摯さがあって応援したくなる。また、大人側の磯村や堀田も、繊細な感情表現が巧みだ。
間違いなく良作なのだが、不調の原因は月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』の後枠であることが大きそうだ。児童相談所を舞台にしたこちらも、大きな事件は起こらないながら、温かい空気に満ちた優しい作品で、本作に似たテイスト。2時間続けて同じような作品を見る気にはなかなかならないため、後の枠はどうしても不利になってしまう。
実は、今期の月9ドラマは航空会社を舞台にした作品で、大手航空会社とのタイアップも決まっていたらしい。しかし、中居正広氏の女性トラブルを発端にした問題の影響で、タイアップは解消。急遽、『明日はもっと、いい日になる』が企画された。もし変更されていなかったら、不幸な内容かぶりはなく、本作がもっと注目されていたかもしれない。
とはいえ、『僕達はまだその星の校則を知らない』が見るべきドラマなのは間違いない。物語の中盤以降は、理事長・尾碕美佐雄(稲垣吾郎/51)と、公立中学校の校長で健治(磯村)と疎遠な父・誠司(光石研/63)が絡み、健治の過去が描かれそうだ。今後の盛り上がりに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。