日々流行の最先端やニュースを追いかけるトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏。そんな戸田氏が注目したのは、活字離れが叫ばれる中、奮闘する書店の「営業戦略」です!
スマホと電子書籍の普及により、「紙の本を買う」という行為は、いまや特別な体験へと変化しています。日本の書店数は年々減少の一途をたどり、日本出版インフラセンター(JPO)によれば、2000年代初頭には2万軒を超えていた店舗数が、2025年2月時点で1万471軒にまで減少。さらに出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によると、全国の約27.7%の市町村に書店が存在せず、1軒以下の自治体は全体の約47.4%に及んでいるといいます。
そんな中、書店の灯を絶やさないために、今、日本各地でさまざまな“挑戦”が見られています。
静岡市の「TSUTAYA BOOKSTORE静岡」は、カフェや雑貨、美容施設、洋服、アウトドアグッズ売り場と融合した体験型書店。短時間で効率よくワクワクできる空間として人気を集めています。別店舗では、ジムやピラティスと組み合わせることで「健康と知の場」として定着しています。
兵庫県三田市の温泉施設「寿ノ湯」では、岩盤浴エリアに1万冊の本を設置。お風呂と読書を掛け合わせた癒やしの空間を提供し、長時間滞在する客が増加したようです。
東京・東久留米市の「野崎書林」では、本棚の隣に地元野菜を陳列。経営者が農業にも携わっていたことから、“本は月に1度の来店でも、野菜なら毎日来てもらえる”という発想に至ったといいます。結果としてリピーターが増え、地域とのつながりが強まるという好循環に。
また、無人書店の導入で成果を上げている例もあります。愛知県豊田市の「山陽道書店 本新店」は、2024年4月から午後8時から翌朝10時までの時間帯を無人営業に切り替えました。来店客は深夜まで働く会社員やバイト終わりの学生、イベント前に本を急ぎで購入したい客など。従来なら取りこぼしていた層を取り込んだことで、売り上げが前年比で増加したといいます。顔認証システムで入店管理を行い、導入費用は約100万円でしたが、半年で回収できたといいます。山陽道書店では2027年3月末までに無人営業を48店舗にまで拡大する方針を決めています。
こうした試みに対しては、ネット上でも《カフェ併設でゆっくり本を選べるのがうれしい》《美容室のついでに買えると時短になる》《温泉と読書の組み合わせは最高》《無人営業のおかげで生活に合わせて買い物できる》といった肯定的な声が多く寄せられています。