■なぜCMに王子様系イケメンの起用が続くのか

 柔軟剤のCMに次々と王子様系イケメンタレントが起用される――この背景を、男児2人を育ている40代のトレンドウォッチャーはこう分析する。

「商品のメインターゲットが女性層だとすると、まず、純粋に清潔感のある人が選ばれるのは自然なことですよね」(トレンドウォッチャー、以下同)

 清潔感――柔軟剤ではなく洗剤ではあるが、花王の『アタックZERO』のCMシリーズにも、松坂桃李(36)、菅田将暉(32)、賀来賢人(36)、間宮祥太朗(32)、杉野遥亮(29)の5人が2019年から出演している。同CMが、洗濯関連のCMへの男性タレントの起用が増えたきっかけとも言われているが、確かに彼らも清潔感があるイケメン俳優たちだ。

「柔軟剤と洗剤の大きな違いは、必需品かどうか、ですよね。柔軟剤はあえて言うと、“嗜好品”に近いとも言えそう。子育てにも追われる私のような人は、最初から柔軟剤を使わないか、1種類だけ使っている感じ。逆に、少し時間がある方は、複数の柔軟剤を使い分けて楽しんでいる印象ですね」

 また、柔軟剤には衣服を柔らかくしたり、静電気の発生を抑えたりする効果もあるが、「そうした細かい機能性ではなく、シンプルに“好きな匂いかどうか”だけで選んでいる人も多そうです。それが、王子様系イケメンがCMに起用されている理由かもしれませんね」と、前出のトレンドウォッチャーは言う。

「“よりフワフワな仕上がりに!”みたいに機能性を謳うより、イメージを重視して、嗜好品のような売り方をする。コアなターゲット層に刺さるようなイケメンを起用しての、キラキラ感を強調するようなCMの方が商品訴求効果があるのかもしれないですね。だからこそキラキラ系のイケメンがキャラクターに起用されているのではないかと。別ジャンルのCMでも、似たようなことが言えますよね」

 たとえば、大人の男のスキンケアクリーム『チェルラー ファルコ パーフェクトクリーム』(アルマード)のCMには、まさに“大人の男”舘ひろし(75)と仲村トオル(59)が起用されている。

「柔軟剤は、独身でバリバリ仕事をしている女性や、若い主婦層が、家事の癒しの一環として愛用している商品だと思われます。だから、CMでも癒しを与えてくれるような、キラキラの王子様系なタレントが多いのではないでしょうか」

 株式会社ネオマーケティングが24年1月に発表した、20~69歳の男女1000人を対象に行なった柔軟剤のパーセプション調査(実施期間23年5月2日~5月8日)では、柔軟剤のポジティブイメージとしては「香りが良い・好き」が得票率1位の35.3%だった。多くの購買層が、香りを重視していることは、間違いないようだ。