■車内を冷やすなら「外気導入」からの「内気循環」が鉄則
では、冷房の設定温度は何度がベストか。それは、“冷やし始め時点では最低温度”が正解だという。
「最近のオートエアコンは、設定温度に応じて冷気と暖気を混ぜて温度を調整する。でも、中途半端な設定ではシステムが余分な調整を行い、かえって燃料を消費する場合があります」(前出の諸星氏)
ポイントはもう一つある。車のエアコンは車外の空気を取り入れる「外気導入」と、車内の空気を循環させる「内気循環」に分かれる。これを段階に応じて使い分けることで、効率よく涼しさを保つことができる。
「最低温度で使用する際は、車内の熱気を循環させないため、外気導入にします。
車内が十分に冷えたら、『A/C』スイッチを切って、内気循環による送風に変える。これで効率の良い冷却と、その維持ができます」(前出の自動車整備士)
整理すると、真夏の車内冷却は、〈換気→外気導入での最低温度冷却→内気循環で送風〉という3ステップが、最適解。送風で暑くなってきたら再度、冷房で冷やせばOKだ。ただし、内気循環には注意点もある。
「今の車は密閉度が高いので、車内循環を続けると二酸化炭素濃度が高まり、気分が悪くなる場合もあります」(諸星氏)
また、冷房の効率アップには、日々のメンテナンスも重要だという。
「今のカーエアコンにはフィルターがついているので、最低でも2年に1回、できれば毎年交換すると、プラスになります」(前同)
涼しく快適な車内で、夏のドライブを楽しみたい。
諸星 陽一(もろほし・よういち)
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦した。現在、雑誌やネットメディアで幅広く執筆活動を行っている。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとしても活動中。