■演者の力がすべてだった『アンサンブル』
物語が終盤に入ると、瀬奈に過干渉な母・祥子(瀬戸朝香/48)に、幼い真戸原を捨てた実母・ケイ(浅田美代子/69)など、毒親が勢揃いして瀬奈と真戸原を苦しめることに。X上では、《登場人物にもストーリーにもイライラして観てるのがしんどい。周囲が恋愛に干渉しすぎ》などと、悲鳴のような声が寄せられていた。
それでも松村の演技が冴えわたっていて、前半はポジティブなグイグイキャラを好演。これまであまり見せたことがない役柄が新鮮で、俳優としての能力の高さを見せた。後半は苦悩するキャラが絶品で、瀬奈、実母との関係に思い悩む演技が素晴らしかった。ストーリーはツッコミどころだらけだが、演者の力でもった作品といえるだろう。
今年2月に公開された、松たか子(48)と共演した映画『ファーストキス』が好評だったが、10月には新海誠監督の劇場アニメーション『秒速5センチメートル』を実写映像化した、同名の長編映画に主演する松村北斗。今後の活躍にも期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。