■広瀬すずら前作キャストの登場が仇になったか

 本作はチームものなので仕方ないが、ここまでかるた部メンバー各人の背景を説明する回が続いたため、主人公や現役生の存在感が薄くなることもあった。しかし、今回、春馬(高村)の背景が描かれたことで、ようやく新入部員が出揃い、ストーリーが動き出してきた。この展開がもう少し早かったら、視聴率の数字が変わっていたかもしれない。

 また、現役生の存在感が薄かったのは、その展開の遅さだけでなく、前作キャストがたびたび登場したことも大きな要因だろう。“肉まんくん”こと西田(矢本悠馬/34)、“机くん”こと駒野(森永悠希/29)、“ヒョロくん”こと木梨(坂口涼太郎/34)と、前作ファンへのサービスの意味もあるだろうが、彼らが出たことで現役の存在感が薄まったのは確かだ。

 さらに、前作の主人公・千早(広瀬すず/27)も第1話のラストに出演して以降、奏(上白石)とのLINE、卒業アルバムの写真など、チラチラと顔を見せていた。めぐる(當真)たちと対戦することになるであろう、瑞沢高校の競技かるた部の顧問であることから、終盤、本格登場するかもしれないが、現役生のことを考えると、いっそ出ないほうがいいのかもしれない。

 北島直明プロデューサーは自身のXで、《ちはやふるのキャスティングは、発展途上の未来ある役者を選んでいます。それは、撮影中に同世代と本気で切磋琢磨して覚醒するからです》と語っている。確かに、今回の春馬のように、現役生たちが回を追うごとに成長しているのがわかる展開になっている

 公式サイトの相関図によれば、瑞沢高校の競技かるた部の元部長・太一(野村周平/31)など、今後も前作キャストの登場があるようだ。しかし、物語の本筋は現役生たちの成長だ。北島プロデューサーは上記Xで、《皆の成長を見守って下さい》と訴えているので、現役生が急成長し、視聴率もアップすることに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。