若手俳優が今まで演じたことがない役柄に挑戦し、新境地を開拓しようとするも、期待外れに終わったドラマがある。今年前半では、1月期の赤楚衛二(31)主演の『相続探偵』(日本テレビ系)が、まさにそれだろう。赤楚はクセが強い探偵役で、コミカルな演技が好評だったのだが――。

 同ドラマは、原作・西荻弓絵氏、漫画・幾田羊氏による同名コミック(講談社)の実写化。元弁護士でワケありの経歴を持つ遺産相続専門探偵・灰江七生(はいえ・なお/赤楚)が、相続にまつわる難解な事件を解き明かし、故人と遺された人々の絆を見つめ直す、痛快ヒューマンミステリー。

 赤楚は、アシスタント・三富令子役の桜田ひより(22)や、元警視庁科捜研の研究員・朝永秀樹役の矢本悠馬(34)とのコミカルなやり取りが好評。内容もエンタメに振り切っていて、第1話の平均世帯視聴率は8.7%(すべてビデオリサーチ調べ)と、好調なスタートを切っていた。

 X上でも、《赤楚衛二は元々漫画的な表情や動きをするのが上手い俳優だけど、相続探偵の「変人」役で新境地を開く予感》《赤楚衛二は一瞬たりと同じ表現がなく変幻自在、オーバーアクションすぎたら引いてしまうのに、絶妙なところを声色や仕草で駆け抜ける》など、赤楚への期待の声が多く寄せられていた。

 コミカルな演技は技術が必要だが、赤楚はそれを達者にこなしていた。それまで、23年7月期『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)、24年4月期『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)などで苦悩する真面目な青年役が多かった赤楚にとって、コミカルな演技は新境地であり、俳優として成長した姿を見せたと言えるだろう。